さてその日、下校中の俺の前に見知らぬ
執事さんが現れた。
「大地ハルオ様、何も言わずこちらを
 受け取ってください」
アタッシュケースにいっぱいの札束。
…えーと。なにこれ。やっぱ夢?
てゆうかどうして俺の名前を?

「失礼ながら、貴男のことはあらかた
 調べさせていただきました。
 幼い頃のおじょ−−−坊ちゃまをご存知
 との事、どうかご他言なされませぬ様」

結希ちゃん……!?
天音はやはり、俺の知っている
結希ちゃんなのか?
あれから結希ちゃんになにがあったのか
知らない。
けれど今の
結希ちゃんの心は男性で−−−
できるなら体も男になりたいと
思っているんだそうだ。

高校を卒業するまで女だと誰にも
バレなければ、親御さんに
性転換手術を許してもらえるのだという。

そーか、クラスの奴らも執事さんに
口止めされてて、だから知らんぷりを…

待てよ。
結希ちゃんの願いを叶えるってことは…
結希ちゃんが本当の男になっちまうって
ことじゃないかよ!!??

「わあぁぁぁぁぁぁぁぁ」

俺はどーしていいかわからず、
アタッシュケースをほうり投げ
よくわからない方向へダッシュで
逃げてしまった。


執事さんは隙あらば俺のふところに
現金をねじ込もうと待ち構えている。
けど、天音といっしょにいれば手が
出せないようだ。だろうなあ、影で
そんなことしてるってバレたら
天音のプライドはズタズタだもんな。

…正直、どうするのが天音にとって
いいことなのかわからないけど、
アレを受け取ったらおしまいな気がする。

そこで俺はできるかぎり天野のそばに
いることにしたのだ。

「なんでついてくんだ?」
「あ、いやその、な、仲良くしたいなあと
 思って」
「気持ち悪りぃ奴だな。
 俺、言っとくけどホモ嫌いだから」

ああああぁ。俺だって男は嫌だよおぉぉ。
まえ     もどる つぎ

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